機械学習によってビジネス課題を解決、実用化に向けた3つのポイント

人工知能(AI)関連の技術をビジネスで活用する動きが盛んになってきている。

特に機械学習(マシーンラーニング)は、その最たる技術の一つ。機械学習とは、大量のデータを統計的に処理することで何らかのパターンを発見し、将来の動向予測につなげるための技術だ。

人間では発見が難しい複雑なパターンの抽出や、事業改善に向けた試行錯誤のプロセス自体を自動化できる点が魅力だ。

しかし新しい試みであるだけに、実用化に向けた課題も多い。「活用のための方法論が確立されていない」「データサイエンティストが足りない」といった具合だ。

今回は米フォーブス誌に掲載されたコラムをもとに、ビジネス活用に向けたポイントを紹介していく。

機械学習の実用化、3つのステップ

機械学習という新しい技術の実用化に向けて、企業はどのように取り組むべきなのか?

同記事では、Hitachi Insight Group(HIG)でCTO(最高技術責任者)を務めるSara Gardner氏による考えを紹介している。HIGは、米カリフォルニア州に本拠地を置く日立グループの企業で、グローバルにおけるIoT事業を担っている。

Gardner氏によると、企業による機械学習の実用化に向けたステップは3つある。

ステップ1:ビジネス課題の明確化

まずはビッグデータの分析によって解決できるビジネス課題を明確にすること。

例えばある炭鉱会社が、採掘できない日を減らしたい、トラックの不備による修理費用を減らしたいといった課題を抱えているとする。

タイヤの修理費用は非常に高くつくことを考慮すると、この場合まずはタイヤの不備を引き起こしている要因を特定することが妥当だ。機械学習技術を活用することで、タイヤに不備が発生する時期を予測できるため、事前に適切なメンテナンスを施すことができる。修理費用の節約や非稼働日数の削減につながるだろう。

ステップ2:社内データの把握

次のステップは、社内にどのようなデータがあるか把握すること。機械学習による示唆の抽出には、過去の経験(データ)をもとにした学習が不可欠だからだ。

装置にセンサー機器を取り付けることで、分析対象となる故障データを集める必要があるかもしれない。しかしこうしたデータの収集が難しいケースもある。その場合はシミュレーターを使うことで故障データを仮想的に作り出すという方法もある。

ポイントは、ビジネス課題を定量的に把握できる指標を明確にした上で、データを収集することだ。例えばタイヤの修理費の削減に取り組んでいた先ほどの炭鉱会社であれば、「タイヤの空気圧の変化」等となる。

データの収集と同時に、大量のデータを処理して可視化できるツールを確保する必要もある。Gardner氏によると、日立がBIツールのPentahoを買収したのもこの理由だ。PentahoはオープンソースのBIツールで、大量の構造化・非構造化データの処理やビジュアライゼーション、アナリティクス機能などを備えている。

ステップ3:データ分析手法の考案

ここまでのステップで機械学習を活用する上でのゴールを明確にし、材料となるデータも準備できた。3つ目のステップは、こうしたデータを分析する上での手法を考え出すことだ。ここが最も難しいパートだという。

ビジネス課題やゴール、手持ちのデータの種類を考慮した上で、適切なアルゴリズムを選択する必要がある。適切なアルゴリズムを作り上げるためには、間違いを犯しながらも試行錯誤を続けていく作業が求められるだろう。

しかしこうした経験を持つデータサイエンティストは非常に少ない。そのため社内だけでなく、外部のサプライヤーも視野に入れて人材を探す必要がある。その際に求められるアルゴリズムやソリューションをあらかじめ明確にすることで、データサイエンティストの不足という課題をより浮き彫りにできるだろう。

そして最終的に重要になるのは、得られた洞察を事業価値の最大化につなげるために、どのような施策を実施するかだ。これには高度な専門性が求められる。

例えばタイヤの不備による機会損失を抑えようとした先ほどの炭鉱会社の場合、いくつかの解決策が考えられる。タイヤの稼働時期を短くする方法もあれば、メンテナンスの頻度を増やすやり方もある。複数の解決策の中から、機会損失を最小化できる方法を模索しなくてはならない。単に機械学習技術を使いこなせば、全てが解決するというわけではないのだ。

機械学習によって成果を出すには、ビジネスとITをつなぐための試行錯誤や調整が求められると言えるだろう。