「小学2〜3年生レベル」の人工知能、North Faceの商品リコメンドサービスを使ってみた

何か商品を買う時に、自分に一番合った物をカタログ情報だけで選ぶのって結構難しかったりします。

たとえば冷蔵庫。「4人家族用のサイズで、電気代がそこそこ安く抑えられて、野菜や魚を新鮮に保存できるやつが欲しい!」みたいな希望を満たす商品を探そうとしても、冷蔵庫の容量や機能名、消費電力量といった情報から、最適な品番を選ぶのは至難の技。

結局自分だけでは選びきれず、家電量販店の店員などに相談してオススメされた商品を買うっていうパターンは多いと思います。

今回紹介するアウトドアブランドのThe North Faceは、そうした商品選択に悩む消費者の課題をAI技術によって解消しようとしています。

適切なアウトドア製品を選ぶのも、また難しい作業だったりします。たとえばアウターを選ぶにしても、防水性や防風性、耐久性、重さ、通気性など、商品特徴となる項目がたくさんある中で、着るシチュエーションや現地の気温などを考慮しながら、選ばないといけません。

商品に詳しくてアウトドアの経験も豊富な人なら大丈夫かもしれませんが、初心者だとまずムリそうです。

そこでThe North Faceが2016年4月にリリースしたのが、商品リコメンドサービス。着用する時期や場所、男性用か女性用かといったいくつかの質問に答えるだけで、最適な商品群を表示してくれるというもの。

裏側の技術はIBMのWatson

今回のサービスを実現している技術が、IBMによるコグニティブ・テクノロジー「Watson」です。

Watsonとは、テキストや画像のような非構造化データを分析することで、推論や予測による答えを導き出すためのテクノロジー・プラットフォーム。分析対象となるデータが増えるほど、機械学習によって学習して賢くなっていく点が特長です。

The North Faceは、約12ヶ月かけてWatsonを活用したこのサービスを開発したといいます。ショッピングアシスタントとしてのWatson。使い心地はどうなんでしょうか?

店員と会話しているかのような使い勝手

まずは専用サイトにアクセス。一つ目の質問は「ジャケットはいつどこで着るの?」というもの。試しに「Commuting in Tokyo」(東京での通勤時に)と入れてみました。ちなみ「I want to use it when commuting in Tokyo」「I’ll use it when commuting in Tokyo」みたいな文章で入力しても理解してくれました。

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次の質問は「どの時期に着るの?」。この時の入力は、「December」(12月)といった特定の時期だけでなく、「from next month」(来月から)みたいな指定の仕方でも大丈夫でした。

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そして最後は、「男性用か女性用か?」という質問。単に「Men」「Women」といった直接的なワードだけでなく、「Husband」や「Uncle」といった間接的に性別を表す言葉でもいけました。

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ここまでで入力した情報は、「東京での通勤時に」「来月から(1月〜)」「夫用」というもの。

これらの回答を総合して、Watsonは「男性用で」「東京にて」「通勤時に」「風が弱い地域で」「気温4度以下」で着るジャケットと理解したよう。そして表示された商品群がこちら。確かに東京での通勤時に全然着られそうです。

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今度はもう一回最初に戻って、これまで入力した回答を一度に入れてみました。つまり「ジャケットはいつどこで着るの?」という質問に対して、「My husband will use it when commuting in Tokyo from next month」と一文で入力。すると一度で同じ結果が表示されました。思ったより利口です。店員と話しているイメージに割と近いです。

かなり実用性の高そうなこのサービス。どうやら回答内容と、各商品の詳細ページに掲載されている以下の利用シーン情報とを紐づけることで、「適切な」商品を表示しているようです。

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どうせならデザインでも絞りたいなーと思って、回答の文章内にデザインを指定するワードも無理やり入れてみましたが、理解してくれませんでした。おそらく商品詳細ページにある上記属性に、デザインを示す項目がないためでしょう。

学習と共に賢くなるWatson

Watsonを搭載したこのサービスは、時間と共に賢くもなっているようです。

たとえば過去に理解できなかった単語を理解できるようになっています。このサービス、4月のリリース当初は「Little boy」(男の子)という言葉の意味を理解できなかったといいます。まだWatsonが子供向け商品の検索に対応しておらず、学習されていなかったためです。

当時「Little boy」と入力すると画面がフリーズ。代わりに「Kid」と入力すると今度は理解してくれた上で、「子供向け商品の検索には未対応です」という旨のメッセージが表示されたといいます。

ただ16年12月時点では、「Little boy」という言葉も理解するようになっていましたただ子供用品の検索にはまだ未対応なので、「子供向け商品には未対応です」というメッセージが表示されます。

The North FaceのCal Bouchard氏(eコマース担当シニアディレクター)によると、リリース当初のサービスの知能レベルは「小学校2〜3年生レベル」だとのこと。今後さらに学習を重ねることで、ますます賢くなっていくことでしょう。