Facebookによるチャットボット元年から早1年、結局これまでどうだったの?的まとめ

2016年のF8でFacebookがチャットボットのプラットフォームを発表して、企業がより簡単にサービスをリリースできるようになってから早1年。

チャットボット元年と呼ばれてから最初のF8が、4月18日と19日にカリフォルニア州サンノゼで開かれました。

今回の発表内容も含め、ここ1年のメッセンジャー上のチャットボットをめぐる動きをまとめてみました。

今ではメッセンジャーの月間アクティブユーザー数は12億人、稼働するボットの数は10万件にも上るそうですが、直近の評価はどうなんでしょうか?

鳴り物入りで発表も期待外れ?

「友人との会話のように、企業と個人がコミュニケーションを取ることができるようになる。これまでのようにアプリをインストールする手間もない」。

2016年4月のF8にて、ボットについてマーク・ザッカーバーグ氏はこうアピールしていました。

チャットボットによって、ユーザーは人と会話するようにサービス側とコミュニケーションできるようになる。誰もが慣れ親しんだチャットというインターフェースでサービスが完結するようになり、ウェブサイトやアプリに取って代わるようになる。そうした期待が一気に沸き起こりました。

確かに長い目でみればそうなのかもしれませんが、まだ少し時期が早すぎたのかもしれません。

発表から半年後の2016年11月、同社のデビッド・マーカス氏(メッセージング製品担当副社長)は、インタビューの中で初期にリリースされたボットを振り返り、「非常に悪い」(really bad)とコメントしています。

当時の時点でチャットボットの数は3万4000件にも上っていました。

ただし当初狙っていた水準には至っていませんでした。すでに体験されている方も多いでしょうが、チャットボットの質が、当初狙っていた『友人との会話』とは程遠かったのです。

「Facebookのいう『友人』の定義は広すぎるようだ。こんな友人とはとても付き合えない」。

ブロガーのVictor Luckerson氏は、4月18日付の記事「The Chatbot Revolution Is on Hold」(チャットボット革命は停滞)にて、こう皮肉っています。

彼の友人であるKateさんが、人気バンドのMaroon 5によるチャットボットとやりとりした際の様子です。何をたずねても「Hi Kate!」としか答えないMaroon 5とイラつくKateさん。

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ボットの価値は会話ではない?

「アプリやウェブサイトも当初は質が低かった。これからさらに改善できる」と、Facebookのマーカス氏は去年11月の時点で話していました。

その後、Facebookはチャットボットの仕様変更に動き出します。2016年3月、従来のような会話形式ではなく、ユーザーによる回答を選択肢の中から選ばせるメニュー式の機能を開発者向けにリリースしたのです。

現状の技術レベルに合わせた現実的な仕様でしたが、自然な会話の実現を期待していたメディアからは、失敗とみなす声が相次ぎました。チャットができない「チャットボット」など、ただのアプリではないかと。

「われわれは『チャットボット』という言葉を使ったことはない。あくまでボットだ。会話こそがボットの未来だという期待が先行しすぎた」。

先に触れたFacebookのマーカス氏は、今年のF8開催中にジャーナリストに対してこう語ったといいます。

その上でボットの位置づけについて、「アプリとも違う」と話しています。つまりアプリのような機能をユーザーが慣れ親しんでいるメッセンジャー上で実現するのが「ボット」、という考え方のようです。

開発者にとっては、Facebookという巨大プラットフォームで多くのユーザーにリーチできることに加え、膨大なユーザーデータを活用できるというメリットもあります。

またFacebookにとっては、ユーザーの滞在時間を上げることによって、マネタイズの機会を増やせるというわけです。

確かにこうした文脈の中で、今年のF8で発表されたボット関連の新機能は、ビジネス活用(特にBtoC)を促進するものが中心になっていました。

量から質重視に転換、ビジネス活用重視へ

メッセンジャー製品を担当するStan Chudnovsky氏は、今年のF8にて次のように話しています。

「Facebookの目的は、数多くのボットをリリースすることではない。メッセンジャー上でのビジネスを成功に導くことだ」。

こうした文脈をふまえた上で、今回のF8で発表されたボット関連の主な新機能をみていきましょう。

・Discovery
チャットボットの検索機能。メッセンジャーアプリのホーム画面上に表示される「Discovery」タブから、お目当てのチャットボットを探すことができるようになるようです。アプリでいうアプリストアのような位置づけの機能が、チャットボットでも出てきた形です。

・Chat Extensions
メッセンジャー上のユーザー同士の会話を元に、文脈に合ったサービスを自動で表示する機能。すでに食品配達サービスのDelivery.comでテスト済みだとか。この場合ピザを注文するか?という選択肢が、会話の最中に表示されるというもの(ちょっとウザそう。。)。ほかにも対応サービスとして、サブカル系のトリビアを提供するTrivia Blastや音楽配信サービスのSpotify、ソーシャル投票サービスのSwellyなどが挙げられています。
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・Messenger Codes
QRコードに近いイメージ。Messenger Codesを端末で表示すると、ドットやダッシュで丸く囲まれたユーザーのプロフィール写真があらわれます。それを他のユーザーがカメラで読み取ると、自動で友人に追加されるというもの。それは企業アカウントでも同じ。たとえばユーザーがあるカスタマーサービスボットのMessenger Codesを読み取れば、その場ですぐにやり取りを始められるという仕組みです。ボットの露出を増やすという意味では、Discoveryと通じる機能ですね。マーケティング活用の幅が広がりそうです。
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テキストでやりとりするチャットボットが、今後自然な会話ができる水準にまでレベルアップして花開くのか?それともメニュー選択式の現状の仕様でそれなりの役割をみつけるのか?(中国のWeChatなんか結構そうですね)、もしくはGoogle Echoのような音声アシスタントが一般化するまでの過度期的な存在にとどまるのか?今後の動向をウォッチしていきたいところです。