機械学習は絶滅危惧種を救えるか?

海に住む絶滅危惧種を保護する研究者たちの活動には、様々な困難がつきまとう。

まずは個体の数を正確に把握することが不可欠になるが、これが難しい。これまでは小型飛行機で海上を旋回しながら、目視で個体の数を数えていた。そのため莫大なコストがかかる上に、事故にあう危険もあった。

今ではドローンを遠隔から操作して、航空写真を撮影できるようになったため、こうした問題は解消しつつある。

しかしもう一つ難しい点がある。ドローンからは海上の航空写真が数万枚もあがってくる。これらを人が目視で確認して個体を数える必要があるのだ。

ちなみに以下の海上写真には絶滅危惧種である海牛が1頭いる。どこに隠れているか分かるだろうか?

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正解は以下の画像で丸をつけたところ。確かによく見ると小さな黒いかたまりがわずかに見える。素人が正確に判別することは非常に難しそうだ。

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こうした気の遠くなるような作業を数万枚の写真に対して行う必要があるため、なかなか調査の範囲を広げることが難しい。これが目下の課題だ。

海牛の保護に取り組む豪マードック大学のアマンダ・ホグソン博士は、こうした課題を機械学習技術によって解決しようとしている。

豪クイーンズランド大学と共同で開発した画像認識システムによって、航空写真の中から海牛の位置を自動で検知しようというのだ。

このシステムを開発するために、彼らはGoogleの画像検索や音声認識で使われている技術を活用している。Googleはこれらの技術を機械学習ライブラリ「TensorFlow」としてオープンソースで公開しているのだ。

今のところ同システムによる海牛の検知率は、人による目視の80%ほどだといい、今後さらに改善できる見込みだという。さらに海牛だけでなく、ザトウクジラや特定種のイルカといった他の海洋哺乳類での応用も期待されている。