量から質へ、方向転換を迫られるFacebookのチャットボット

Facebook上のチャットボットが答え損なっているユーザーのリクエストは、全体の70%に上る。

こんなレポートが先日、テック系メディア「The Information」によってリリースされました。同レポートは「現状のチャットボットは人間による手助けがないと、ユーザーのリクエストに答えきれない。人間の要望に答えるだけの技術力がまだない」と結論づけています。

また今後のFacebookによる対応について、こう予測しています。

「ユーザーがチャットボットに失望するような事態を避けるため、より限定された用途での活用を重視していくはずだ」。

そしてこの見方を裏付けるかのような機能が、同レポートがリリースされた直後の3月2日にFacebookによってリリースされました。

従来のようにテキストではなく、ユーザーによる回答を選択肢で選ばせるメニューを表示させる機能を、チャットボット開発者向けに出したのです。

確かにどうせユーザーが複雑な文章を打っても理解できないのなら、はじめから選択肢で選ばせたほうが合理的と言えそうです。

しかし合理的といっても、あくまで短期での話。つまり選択式メニューを単純に多用してしまうと、ユーザーとの自然な会話が発生しない、すなわちボットが会話から学習して改善する機会が減ることにもなりかねません。

いずれにしてもFacebookがチャットボット向けのプラットフォームを昨年4月にリリースしてから、早一年。リリースからたった3か月後には、プラットフォーム上のチャットボットの数が1万1000件を超えるなど、破竹の勢いをみせていたものの、このタイミングで方針の見直しを迫られた形です。

チャットボットの今後、量から質へ転換

今回リリースした選択式メニューについてFacebookは、「会話方式を排したシンプルなMessengerエクスペリエンス」だとしています。

会話方式を排除するという動きについては、Facebook上のチャットボットを使ったことのある人にとって意外ではないかもしれません。もともと会話と呼べるほどのコミュニケーションなどできていなかったからです。

たとえば1-800-Flowers.comというフラワーギフトのECサイト。メッセンジャー上からテキストで花のオーダーができます。チャットボットの代表事例の一つとしてよく紹介されますが、現在でも会話といえる水準には至っていません。

オーダーする場面で、欲しい商品(Red rose)を伝えても、あくまでボットが理解できるギフトカテゴリーをまずは選ぶよう指定されてしまいます。

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この1-800-Flowers.comを例に挙げつつ、Digital TrendsのライターであるJustin Pot氏は、次のように述べています

「人間がボットとの会話方法を学ぶのではない。ボットが人間との会話方法を学ぶのだ。そうなるまでアプリやウェブサイトの存在が脅かされることはないだろう」。

これまでは数の伸びが強調されることの多かったメッセンジャー上のチャットボット。プラットフォームのリリースから1年たって、その質が問われる時期に差し掛かっているといえるでしょう。

来月に開催されるFacebook主催の開発者カンファレンス「F8」では、チャットボットの質向上を重視した何らかの発表があるのではとの予測も出ています。今後のチャットボットの動向を追う上で、ぜひ注目したいところです。