Facebook上のチャットボット、実は社会貢献関連が盛り上がっていたという話

Facebookが2016年4月にリリースしたチャットボットのプラットフォーム。これによって、Facebookメッセンジャー上で動くチャットボットを外部の開発者が制作できるようになりました。

今では同プラットフォーム上で提供されているチャットボット関連のサービスは、10万件以上に上るそう。

このFacebookによるチャットボットプラットフォームについて、海外メディアのMashableが「特に社会貢献関連のサービスが盛り上がっている」と報じています。

サービスの一例として、

・英語を話せない難民や移民に翻訳者を紹介することで、移民先での生活支援を目指すTarjimly
・法律知識のない一般の人々に弁護士サービスを提供するDoNotPay
・一般的に男性に比べ給与水準が低い傾向にある女性を支援するAsk for a Raise

などが挙げられています。

なぜ特に社会貢献サービスが増えているのか?要因としては、

・社会的に弱い立場にある人々もFacebookを日常的に使っているため、リーチしやすい
・12億人以上のユーザーが集まるFacebook上で出したほうが、マーケティングがしやすいというサービス提供側のニーズにマッチしている
・非エンジニア向けのチャットボット制作ツールが充実してきている
・社会貢献を重視する Facebook自身の思想ともマッチしている

といったことのようです。詳しくみていきましょう。

◆社会的弱者とされる人々にリーチしやすい

「Facebook上でチャットボットを出す利点は、すでに多くのユーザーが集まり長い時間を過ごしているプラットフォームだということ。さらにユーザーにとっても、Facebook上のほうが使いやすいでしょう」。

シリコンバレーを拠点とするTarjimly創業者のAtif Javed氏は、こう語ります。

同社は、中東などからの難民や移民向けにチャットボットを提供しています。

移民先の言語に不自由する彼らに対して、翻訳者を紹介することで現地での生活を支援するというもの。

具体的には、言語の障壁を取り払うことで、彼らが医者や就職支援者、法的支援サービスなどにアクセスさせることが目的だといいます。

当然ながら難民という立場に置かれる人々の多くが、経済的に困窮しています。それでも彼らの多くはスマートフォンを持っており、日常的にFacebookメッセンジャーやWhatsAppを使ったテキストメッセージに親しんでいるよう。

慣れ親しんだFacebook上で提供されるサービスであれば、活用に向けたハードルも非常に低いというわけです。

またあくまでアプリではなく、Facebookメッセンジャー上での提供を選んだ理由について、Javed氏はこうも話しています。

「今から独自のアプリを作って、無数にある他のアプリと競争するだけの価値はない」。

◆非エンジニアでも作れる環境が整備

またエンジニアでなくとも、Facebook向けチャットボットを作ることができる環境が整ってきているという利点もあります。

もともと社会貢献に関わろうという人々は、必ずしもエンジニアリソースを豊富に持っているというわけではありません。

「チャットボットを作るなんて、想像したこともなかった」。

クリエイティブエージェンシーのR/GAでシニアコピーライターを務めるKate Carter氏はこう語ります。

彼女は「Ask for a Raise」というFacebook向けチャットボットの開発・運営を主導しています。

同サービスの目的は、男性より給与水準が低い傾向にある女性を支援すること。昇給に必要な説得材料をチャットボットによって提供しています。

実際アメリカにおいて男女間の賃金差は問題視されている状況。昨年実施の調査によると、アメリカの企業で女性が昇給を達成できる確率は、男性より25%も低いといいます。

Ask for a Raiseの利用画面

彼女はチャットボットを開発するにあたって、チャットボット開発支援ツール「Reply.ai」を活用。同ツールによって、コードを書くことなくGUIベースでチャットボットを制作しました(ちなみに日本ではトランスコスモスが販売)。

この手のツールは、他にもRapidProChatfuelMeyaなど数多くそろっており、従来テクノロジーから遠かった分野によるチャットボット制作を後押ししているようです。

◆Facebookによる思想ともマッチ

さらにソーシャルメディアを通じて社会的弱者を支援するという思想は、FacebookのMark Zuckerberg氏の考えとも共通しています。

Zuckerberg氏は、「Building Global Community」と題した、6000語に及ぶマニフェストを2017年2月に発表しました。

この中でZuckerberg氏は、ソーシャルインフラとしてのFacebookをより進化させていく考えを示しています。

単に友人や家族同士をつなげるにとどまっていた従来の役割から、貧困などの社会問題の解消に向けたコミュニティ作りに貢献するインフラを目指すというのです。

チャットボットの開発や集客を低コストで行いたいという企業側のニーズと、慣れ親しんだプラットフォームで手軽にサービスを使いたいというユーザーニーズ、社会貢献を重視するプラットフォーム側の思想。

この3つが合わさっていることが、社会貢献チャットボットの増加を後押ししているといえそうです。