AIビジネスの今を知る、最新トレンド10選

AI(人工知能)関連市場がますます盛り上がっています。

調査会社のIDCによると、AI関連市場の規模は、2016年の80億ドル(約9,000億円)から2020年に470億ドルに拡大するそう。

「すでに企業のあらゆる業務プロセスにAIは活用され始めている」と、同社のDavid Schubmehl氏(コグニティブシステム・コンテンツアナリティクス担当ディレクター)は話しています。

ただ「AI関連市場が盛り上がっている!」とだけいわれても、範囲が広すぎていまいちピンとこないですよね。

そこで今回は2017年以降にかけて、重要になり得るトレンド10項目をご紹介します。すでに流行っている項目も多いですが、これからさらに重要性が増すという意味で、改めて触れておきます。

今後AI導入を自社で検討する上で、今回の記事を見取り図として使っていただければ。AIビジネスについてこれから知りたい、という方向けの内容です。

1.AIチャットボット

AI関連の調査会社TechEmergenceが、AI関連企業の幹部らを対象に実施した調査によると、今後5年間で最も発展するAI関連技術として、最も多く挙げられた項目が「チャットボット」(37%)でした。

自然言語を理解した上で、メッセージングサービスやメールを通して人とコミュニケーションできるチャットボット。すでにIBMやFacebookといった複数の企業が、チャットボットの開発プラットフォームを公開しており、数多くの企業が参画しています。

Facebookによると、2015年夏の時点で、11,000件以上のボットがメッセンジャー上で稼働中だとのこと。またIBMによると、2000年以降に成人になるミレニアル世代の中で、人間のスタッフよりもチャットボットとのコミュニケーションを好むと答えた割合は、65%に上ります。

2.アプリケーション開発

AIを活用したアプリケーションは、もちろんチャットボットだけではありません。すでにウェブやモバイル、企業内システムといった広い範囲でAI技術が活用されています。たとえばレコメンデーション機能やスケジューリング機能、ビッグデータをもとにした洞察の抽出といった具合です。

今後この傾向はますます強まるでしょう。Gartnerは自社レポートの中で、2018年までにグローバルの大企業上位200社のほどんどの中で、AIを使ったアプリケーションやビッグデータの活用、アナリティクスツールによるサービス・顧客エクスペリエンスの改善が主流になると予測しています。

3.IoTでの活用

モノとモノをインターネットでつないで相互に制御できるIoT。GartnerはIoTとAIの関係についてこう説明しています。

「IoT端末を含む既存の機器は、AIによってインテリジェントな能力を獲得することになる。こういった技術は住宅やオフィス、工場、医療施設などあらゆる場所で活用される」。

たとえば次世代のフィットネストラッカー機器であれば、単にデータをモニタリングするだけではありません。機械学習やアナリティクス機能によって、これまでの健康情報をもとにしたレコメンデーションも可能になります。

4.ヘルスケア

AI活用による効果が最も期待されている分野の一つがヘルスケア。IDCによると、2016年に最もAI関連の投資を集めた分野の一つが病気の診断システムです。さらに今後5年間の投資額は、年間69.3%のペースで増えていくとみられています。

また似たような話でいうと、CBInsightsもAIスタートアップが最も活発な分野(2016年)としてヘルスケアを挙げていますね。

5.生物学的モデル

AIとヘルスサイエンスの関係は、単なる診断システムにとどまりません。コンピューターサイエンスの研究者たちは、生体モデルをAIソフトウエアの開発に応用することで、人間のような複雑な処理を実施しようとしています。

脳の神経回路の仕組みを模したニューラルネットワークもその一つ。一例としては、マサチューセッツ工科大学(MIT)とGoogleが2016年2月に発表した研究があります。彼らが開発したのは、道端の画像を読み込ませると、その地名を正確に返すシステム。約1億枚に上る位置画像をニューラルネットワークに学習させたそうです。

今後も発展していくと思われるこの分野。レイ・カーツワイル氏のように、2030年までにはヒトの脳とコンピューターネットワークが融合したハイブリッド型のAIが誕生すると予測している研究者もいます。

6.ハードウエアへの応用

AIビジネスというとソフトウエアになりがちですが、ハードウエアももちろん重要です。自動運転車や産業用ロボット、AI搭載ドローンなどがその一例。今後5年間でAIハードウエア市場規模は、年率60%以上で成長するとIDCはみています。

7.AI関連スタートアップ

AI産業の成長に伴い、スタートアップも増えています。Venture Scannerによると、AIスタートアップの数は73か国で1,500社に上るそう。またGoogleやIntel、Apple、Facebook、MicrosoftといったIT大手によるスタートアップの買収も活発化。今後もこのトレンドは続くでしょう。

8.労働への影響

AIとビジネスの話で最も注目されがちなトピックの一つが、労働への影響です。2016年6月には調査会社Forresterが、「現在のアメリカの労働人口の7%が、2025年までにロボットや機械学習といったAI技術によって置き換えられる」という具体的な調査結果を発表して話題になりました。

もちろんAIによって置き換えられるかどうかは、仕事の内容によります。サポートセンターのスタッフのように今後劇的に少なくなる職業がある一方で、データサイエンティストやオートメーションスペシャリストのようにさらに需要が増す仕事に分かれてきます。

9.AIの盛り上がりに対する反動

AI産業が盛り上がりをみせている一方で、その反動が今後押し寄せる可能性もあります。AIによって職を追われた人々がこうした技術に反感を抱き、その動きが政治に影響を及ぼすことも考えられます。

またスマートロボットやコグニティブ関連の専門職、機械学習、自動運転といったAI関連の技術には「過度な期待」が集まっている、とGartnerは指摘します。これは先進テクノロジーの発展段階を示した「ハイプ・サイクル」に基づいた予測です。

このモデルによると、「過度な期待」が集まっている時期を過ぎると、「幻滅期」と呼ばれる時期がやってきます。実際にテクノロジーを導入しても成果につながらない事例も多く出てくることで、興味が失われていく段階です。関連企業の淘汰が進むのもこの時期です。

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10.予測精度の改善

すでにAIが大きな影響を及ぼしている箇所といえば、予測精度の改善です。これは予測のもとなるビッグデータがあってこそのもの。これまでビッグデータの活用に取り組んできた企業からすれば、機械学習をベースとした予測精度の改善に取り組むことは自然な流れといえるでしょう。

分かりやすい例としては、2016年のアメリカ大統領選でのAI活用があります。インドのスタートアップが開発したAIシステムは、選挙の前日の段階でドナルド・トランプの勝利を予測していたといいます。他の事前調査のほとんどがヒラリー・クリントンの優勢を伝えていたにもかかわらずです。