来場者数が想定の3倍だったAIエキスポ、個人的にはデータまわりが注目

私は元々記者をやっていたので、これまでにビジネス関連の展示会は取材で山ほど参加してきました。

その中でも先日開かれた第1回AI・人工知能EXPOの盛況ぶりは、別格だった気がします。

主催のリード エグジビション ジャパンさんに事前にお話しを伺った時は、「3日間で約1万5000人の来場者を見込んでます」とのお話。

「当日は歩けないくらいの感じにすらなるかもしれません」と聞いていたものの、正直なところ混雑ぶりを表すたとえだと思っていたのですが、本当にそんな感じでした。

ふたを開けてみると3日間の参加者数が4万1,677人と、当初予想の約3倍。

AIブームの真っただ中だからということはもちろんですが、あらゆる産業と関連し得るという意味で、すそ野が広い分野だということもあるのでしょう。

パっと目につくのはやはりチャットボット

数あるブースの中でも、一番目についたのはやはりチャットボット関連のサービス。

関連ブースをまわりましたが、主な使い道はサポートセンターによる一部業務をボットで代替することで、人件費削減や業務効率化を目指すというものが多いようです。

事前に決めた対話ルールに沿ってやり取りを進めるという仕組みなので、あまり複雑すぎる対話は難しく、「問い合わせの8割は大体同じ質問です」みたいなケースの効率化が一番ハマりやすい、つまり事前に決めたルールの範囲で対応しやすいんだろうなという印象。

おそらく実際に使ってみると、料金体系やUIの使い勝手、周辺機能などの面で相性の良しあしを感じるのでしょうが、チャットボット自体の性能という意味では、各社で大きな違いはなさそうです。

「将来的には機械学習を活用して、対話ルールの設計部分をもっと自動化していきます」と仰っていた会社さんもいましたが、一方で「単純にそうするとボットがどんな回答をするか予測できない部分も出てきてしまうので、難しいところなんですよね」とのことで、どこまで自動化させるかについては、バランスを考慮する必要がありそうです。

周辺機能という意味では、個人的にはhachidori(ハチドリ)のLINE関連機能が気になりました。

LINEユーザー向けにチャットボット上でアンケートを実施できるのですが、そのアンケート結果をもとにメッセージの出し分けができるというもの。

たとえば「アンケートで購買意向が高かったユーザーに限って、クーポンを送ろう」といった具合に、ユーザーのセグメントや購買熟度に応じた出し分けができそうです。ちなみにこの機能、特許出願中だとか。

結局データが一番重要

やはり結局、人工無能やディープラーニングといったAI関連の技術だけでは根本的な差別化にはならないとすると、最も重要なのは独自の学習データをいかに集めるかということになります。

そういう意味では、出展社の中でもIR-ALT(アイアール・アルト)のように学習データの作成や収集を支援している企業が、個人的には興味深かったです。

AIを作りたいけど「機械学習用の正解データがない」というようなケースは多いはずだからです。

同社によるデータ収集は、必要な学習データの専門性によって段階があります。

専門性が比較的低いデータであれば、クラウドソーシングによる不特定多数から収集。

一方クラウドソーシングでは対応しきれない要件、たとえば特定の属性(幼児や高齢者など)や精度の高いデータが必要な時は、同社のネットワークを使っての収集といった具合です。

また音声データの収集にも対応していて、高齢者や認知症の方による発話データといった非常にニッチなデータ収集にも対応できる点が強みのようです。

アイアール・アルトのブース

「データ市場」という仕組みにも注目

この「AIに使うデータがないなら買えばいいじゃない」的な発想をさらに突き詰めた先の一つとして、データの持ち主とデータが欲しい人をマッチングさせる「データ市場」という考え方があるようです。

今回のエキスポで開かれた専門セミナーにいくつか出席させていただきましたが、中でもEvery Sense社の眞野浩氏と東京大学の大澤幸生教授によるデータ市場の話は、とても刺激的で面白かったです。

Every Senseは、データの持ち主とデータが欲しい人をマッチングさせるプラットフォームを運営する企業。この場合のデータとは各種のデバイスから発生したセンサー情報、いわゆるIoTまわりのデータになります。

AI分野のニュースというと、個々のサービス内容にフォーカスされがちですが、いかに独自の学習データを確保するかという話のほうが本質的かつ重要なはずなので、この手の話は今後さらに注目されてくるはず(後ほどセッションの詳細をレポートします)。

ちなみにAI・人工知能EXPOの専門セミナーも、事業会社による実際の事例から研究者による最新技術の話題まで、ラインナップが非常に充実していました。

かなり濃い情報が展開されるので、参加費も決して安くはないですが、広い会場がびっしりと埋まっています。

次回は来年4月

次回のAI・人工知能EXPOはまた1年後の6月、、、と思いきや、来年の4月なんです。

◆第2回 AI・人工知能EXPO
2018年4月4日(水)~6日(金)

前回の約3倍の規模を想定するとのことで、展示スペースも大幅に広げるようです。

第2回目はAI4U運営元のインキュビットも出展しますので、皆さまとお会いできるのを楽しみにしております!