画像分析で商品の活用シーンを把握、マーケティング等に使えるKiducoo AI

「Kiducoo AI」の使用画面例

イー・ガーディアンというと、これまではWebの掲示板や投稿の監視企業というイメージでした。ユーザーが投稿したエロやグロなどの有害テキスト・画像を検知して、削除するといった形です。

しかし同社はこうした従来の監視事業にとどまらず、そこで培った画像検知技術やビッグデータの分析ノウハウを応用して、マーケティング支援にも乗り出してきました。

その手始めが、今回リリースされた「Kiducoo AI」(キヅコウ エーアイ)というサービス。

画像内の物体を分析することで、「何が写っているか」「どの位置に写っているか」をAIによって自動で検知するそう。

そういった分析を多くの画像を対象に実施すると、商品の利用シーンや傾向を浮き彫りにできるので、マーケティングデータとして活用できるというわけです。ちょっと使ってみたいかも。

「Kiducoo AI」のベースとなっている画像認識システム「ROKA SOLUTION」は、同社が東京大学との産学連携で開発したAI。

ROKAは、これまでエロ・グロなどの違法画像の検知を自動化するために使われてきましたが、さらに「最新の物体検知アルゴリズム」を組み合わせることで、「Kiducoo AI」の開発に至ったとのこと。

従来のテキストや画像の監視という「守り」の事業で得たノウハウをもとに、マーケティング支援という「攻め」の事業にも力を入れ始めた同社。

その手始めとなる「Kiducoo AI」とは、どんなサービスなんでしょうか?

マーケティングに使える知見、画像分析で抽出

「画像認識を累計でここまでやっている会社はそうそうない」「画像分析をマーケティングに使っていく流れを推進していきたい」。

イー・ガーディアンの高谷康久社長は、「Kiducoo AI」の発表にあたってこう語っていました。

高谷康久社長
高谷康久社長

イー・ガーディアンは、「Kiducoo AI」の特長として次の3つを挙げています。

・画像内に写っている複数の商品を識別できる(何が写っているか)
・画像内に写っている複数の商品の位置を認識できる(どこに写っているか)
・識別対象となる商品の追加が容易

発表会見では、ビールの事例を紹介していました。

イー・ガーディアンは、Instagramで「上野公園 ビール」と検索して出てくる約2万枚の画像を「Kiducoo AI」で分析したといいます。これによって主に分かることの一例としては、

・写っているビールブランドごとの数
・それぞれのビールと共に、どの性別・年代の人がどういう料理を食べているか

といったことがあるそう。

「Kiducoo AI」の使用画面例
「Kiducoo AI」の使用画面例

またマーケティングだけでなく、カスタマーサポートにも使えるとのこと。たとえば、

・部屋の画像を送信するだけで、引っ越しの見積もりを出してくれる
・冷蔵庫の中の画像を送信するだけで、レシピをレコメンドしてくれる

などが挙げられていました(まだこれらの実績はなく、あくまで今後の可能性)。

画像分析に必要な学習作業

もちろん画像内の何をどれくらいの精度で検知できるかは、学習のさせ方次第とのこと。そして言うまでもなく、学習に向けた適切な画像データを整えるのは大変な作業です。

ただこうした学習データの収集や整理も、イー・ガーディアン側で支援することが可能だそう。従来から違法画像の検知を人海戦術で進めてきた同社は、潤沢な人的リソースを抱えているので、こうした作業は得意だとしていました。

プランも企業ニーズに合わせて柔軟に変えていくそうで、たとえば

・単なるAPIの提供
・クライアントが学習データを保有している場合、コンサル・データセットの分析・成型も含めた一気通貫の支援
・クライアントが学習データを保有していない場合、適切なデータを保有する外部企業と連携してデータ提供

などがあります。

3つ目の場合は、外部企業が持つデータの種類に応じて、多様なソリューションの可能性がありそうです。一例としては、

・引っ越し業者向けのソリューション。地図データと間取り写真データを連携することで、引っ越しの見積もり精度UP
・小売業向けのソリューション。気象データと連携することで、気温や湿度に合ったレシピ食材を提案
・広告会社向けのソリューション。ロイヤリティの高い顧客による購買データと、ビール・カレーの投稿写真データを連携することで、写真投稿ユーザーに「おしゃれ食器」のレコメンドを表示するためのDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)を構築

といった具合です。

処理量に応じた課金体系、場合によっては人海戦術のほうがベター

気になる費用感ですが、40万円で画像400万枚までの処理量に対応しています。また必要な学習データ量としては、「ケースバイケースで難しいが、これまでの事例では、例えば初期学習時点9割程度の検知率を目指す場合として数千枚~数万枚」とのこと。

また自社の案件に特化した学習モデルを構築する場合は、別途初期費用が数十万円~数百万円発生する場合も多いそう。

なので学習させる画像枚数によっては、AIによる自動化ではなくイー・ガーディアンの人的リソースで人海戦術をとったほうが、適切なケースもあるとしていました。画像枚数が累計数十万枚程度、もしくは毎月数万枚ほどであれば、「目視での監視で十分ご満足いただける可能性も高い」とのこと。

ここは自社の状況に応じて、要検討ですね。

画像分析のマーケティング需要が急増

もともとネットにあがっているテキストや画像の監視事業がメインだったイー・ガーディアン。マーケティング支援にも乗り出したきっかけは、何だったのでしょうか?

「画像から商品のユーザーの年齢層や利用シーンをまとめてレポーティングしてほしいという依頼が、ここ数年で急激に増えていた。これまでに15社ほどから声がかかってきた」(高谷社長)。

WebサイトやTwitter、Instagramなどを通して、貴重なユーザー情報を含む大量の画像にアクセスできるようになってきたことからすれば、当然の流れでしょう。

強みはAIシステムと潤沢な人的リソースという、学習に必要な両方を備えている点とのこと。ちょっとまずはAPIベースで試してみるのも面白そうです。