AI企業が未来の有望スタートアップ50社を予測、その結果とは?

2009年にビジネスウィーク誌がこんな企画を立てました。

これから急成長するであろう無名のスタートアップ50社をコンピューターによってリストアップするというお題を、ビッグデータ視覚化ソリューションを提供する米Quidのボブ・グッドソンCEOに出したのです。

企画は無事当時の紙面に掲載。ただリストアップされた企業のことは、同誌やリストアップしたグッドソン氏自身も忘れていたといいます。

それから約8年たった今年。

改めて当時のリストを見返した同誌(現在はブルームバーグ・ビジネスウィーク)の編集者とグッドソン氏は、その結果を目にして驚いたそう。

そこには今や誰もが知る有名企業が名を連ねていたからです。以下がその一例。

・Evernote
・Spotify
・Etsy
・Zynga
・Palantir
・Cloudera

さらに一般的な知名度はそれほど高くはないものの、非常に優れた業績をあげたスタートアップも含まれていたといいます。

たとえば同じくリストアップされていたインドのIbibo。オンライン旅行予約サイトを運営する同社は、2009年当時は従業員8人ほどの小企業だったものの、現在は売上高20億米ドル(約2200億円)もの規模にまで成長しています。

2017年版を新たに作成、その結果とは?

こうした結果を受けて、同誌は再度グッドソン氏に現時点でのリストの作成を新たに依頼しました。

作成方法の詳細は一部伏せられているものの、過去3年でベンチャーキャピタルから投資を受けた5万社をリストアップした上で、資金調達額といった定量データや創業メンバーの経歴などの定性データを使って、最終的に50社に絞り込んでいます。

こうして出来上がったリストがこちらです(オリジナルをもとにAI4U編集部で作成)。

AI4UはAI専門のビジネスメディアということで、中でも「業種」が「Artificial Intelligence」(人工知能)となっていた10社をピックアップして紹介していきます。

各社の情報をみていくと、場所でいうとやはりシリコンバレーに本拠を置く企業が最も多く、ジャンルでいうとマーケティング関連が目立ちます。

まだあまりメディアにも取り上げられておらず、せいぜい資金調達のニュースがテッククランチに報じられたぐらいという企業ばかりですが、未来のメジャー企業が含まれているかもしれません。

1.Folloze
B2Bマーケティングの見込客を獲得する際に活用するソリューションを提供する企業。サイト訪問者の属性や行動などによるコンテンツ出し分け機能や分析機能などを搭載しています。AI技術をどう活用しているかは不明ですが、おそらくサイト内行動のスコアリングやコンテンツの出し分け関連で使っているのだと思われます。

2.Geoblink
地理情報を活用したマーケティング、いわゆる「ジオマーケティング」と呼ばれるジャンル向けのアナリティクスプラットフォームを提供する企業。地域別の人口や商取引額、交通量といった地理情報のデータベースを保有しており、ユーザーはこうした地理データのビジュアライゼーションや機械学習による分析などが可能になるとのこと。小売店舗の出店地域を決める、既存店舗の売上予測を立てるといった用途に使えそうです。

3.GrayMeta
顧客情報や契約情報など、企業内に散在する様々なデータ。ただ蓄積されているだけだと「ゴミ」と変わらないデータでも、適切にラベリングして管理することで「資産」にすることも可能になります。GrayMetaのソリューションによって、散在する社内データ(クラウドとオンプレミス問わず)を検索した上で、機械学習の活用によって新たなメタデータを付与することができるようになるとのこと。つまり社内データの検索と目的に応じたラベリング作業をAIによって効率化できるというサービスです。

4.Kahuna
B2C向けのマーケティングオートメーションツール。サイト訪問者の属性や行動(商品をカートに入れるなど)を収集した上で統合。それらを元にデバイスや流入チャネルごとにペルソナを作成してくれるとのこと。さらにそうして作成したペルソナをもとに適切なコンテンツを出し分けることで、コンバージョンを狙います。このコンテンツの出し分けの精度をAIによって高めることができるとのこと。

5.Mad Street Den
AIとコンピュータービジョンを中核としたサービスを提供するインド企業。インド系アメリカ人の夫婦が2013年に立ち上げました。主要ソリューションとして、ファッションEC向けのAIサービス「Vue.ai」を提供しています。「AIスタイリスト」を標ぼうする同サービスは、EC訪問者の好みの色や柄、サイズなどを把握した上で、商品をリコメンドしてくれるとのこと。2016年にSequoia CapitalなどからシリーズAでの資金調達を実施しています。

6.Mihup Communications
ヒンディー語をはじめとするインド系言語専門のボイスコントロールソリューションを提供する企業。同社によるSpeech APIを各種機器に搭載することで、音声によるコントロールが可能に。たとえばテレビのチャンネルを変える、自動車のカーナビを操作するといった具合です。現状対応している言語はヒンディー語とベンガル語、インド系英語(俗にいうヒングリッシュ)の3つですが、今後対応言語を増やしていくとのこと(インドには20以上もの言語があります)。

7.Mobvoi(出门问问)
2012年に創業した中国のAIスタートアップ。中国語の音声認識や自然言語処理などを中核としたソリューションを提供しています。自動車内での電話やGPSの操作などを音声でコントロールできる車載機器「Ticauto」などを提供しています。2017年4月には、フォルクスワーゲンの中国法人から1.8億米ドルの資金を調達。今後フォルクスワーゲン製自動車向けのAIサービスを提供していく考えを示しています。

8.Rulai
カスタマーサポート向けのチャットボット作成キットを提供。既存の会話データをもとに、で会話のスクリプトを「コーディングなし」で作成できる点が特長とのこと(GUIベースで作成できるソリューションはすでに数多く乱立している状態ではありますが)。会話の最中にボットだけでは対応しきれない場合、人間のスタッフにつなぐわけですが、そのタイミングは、文脈などをもとにチャットボット自体が判断できるとしています。

9.Troops
営業チーム向けのタスク効率化ツール。Salesforce上のCRMデータをSlack上で扱うことができるようになります。具体的には、営業レポートやスケジュール、任意のデータをSlackで閲覧する、(タスクの標準プロセスを自動化できる)「ワークフロー」機能をカスタマイズするといった作業です。同じ作業でも、Salesforce上の複雑なUIを使うよりも、チャットUIでやったほうが簡単だよねということのようです。

10.Zodiac
BtoCマーケター向けの顧客分析プラットフォーム。サイトのアクセスデータや商品の購買情報といった行動データをもとに、ユーザーの価値を「High Value」「Medium Value」「Low Value」の3つにセグメント。同じような属性を持った他のユーザーを探し当てたり、1人当たりの売上高を予測するといったことが可能になるとのこと。